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脂質抗原を用いたマイコプラズマ肺炎早期診断法の開発

第7回 国際バイオEXPO に出展

マイコプラズマ感染の有無、3日で検知  (日経産業新聞)
抗原探し化学合成
バイオベンチャーのエムバイオテック(東京・江東)は、肺炎を引き起こすマイコプラズマの感染を速く正確に診断できる技術を開発した。病原菌の中から病気に深く関係する抗原を探し出し、化学合成に成功した。これをもとに感染を調べる。従来は感染して発熱してから10日以上たたないと感染の有無が分からなかったが、新技術は3日後には陽性かどうか検知可能。3年後の実用化を目指す。

マイコプラズマ菌の中でも病原性の強い「マイコプラズマ・ニューモニエ」の作る「GGL」という脂質状の抗原をみつけ、化学合成することに成功した。患者の血清に合成した脂質を加えて、抗体の有無をみることで感染しているかどうかを調べる。

従来の検査は適切な抗原を見つけ出せないため、発熱から10日以上経過しないと抗体の有無を見つけられなかった。エムバイオテックは特異性の高い抗原を利用することで約3日後まで短縮した。患者はマイコプラズマ肺炎に適した治療を迅速に開始できる。

一般にマイコプラズマ肺炎の治療には抗菌剤を使うが、薬剤が効かない耐性菌の登場が近年問題になっている。日本人の3割にあるともいわれている。今回の技術でマイコプラズマ肺炎でなければ、別の薬を使って回避できることになる。

第82回日本感染症学会 平成20年4月17日
ワークショップ「マイコプラズマ感染症の今日的話題」 マイコプラズマ脂質抗原を分子基盤とした診断-治療法の開発

日本マイコプラズマ学会総会 平成20年5月30-31日 シンポジウム:マイコプラズマ脂質抗原を用いた診断システムの開発




PA法の診断基準は、320あるいは640で陽性。GGL Glc-type IgM ELISA は、PA法の40,80あたりから特異的に陽性と判断できる。


マイコプラズマ脂質抗原を分子基盤とした 診断-治療システム

マイコプラズマ・ニューモニエは肺炎の原因菌のひとつとして知られている微生物であるが、感染により免疫異常を引き起こし、喘息及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)等の下気道疾患や多発性硬化症などの神経疾患の原因微生物になっていると考えられている。また、マイコプラズマ・ファーメンタンスは、関節リウマチやその他のリウマチ性疾患の原因の一つではないかと報告されてきている。

特に、小児において早期に診断-治療することは非常に重要であるが、従来の血清診断法であるマイコプラズマ抗体測定法は、培養したマイコプラズマ・ニューモニエからの粗抽出物を用いた測定法であるため特異性・検出感度・定量性が不十分であり、マイコプラズマ感染を早期に特異的に判断することが困難であるという問題があった。

マイコプラズマは特異な脂質抗原をもち、また、脂質抗原はNKT 細胞を介して免疫調節機構に働き感染症・自己免疫疾患・がん免疫において重要な役割をしている。私たちは、この脂質抗原を発見し、構造決定および合成に成功し、マイコプラズマ感染症の高感度診断法の開発と病態解明をおこなっている。 

自己免疫疾患・リウマチ性疾患・喘息等の難治性疾患において、マイコプラズマという微生物が原因であるという報告が多くある。しかし、信頼のできる同定・診断法がなく、臨床的に追い詰めることが難しかった。当社は、上記の疾患と関連の深い、マイコプラズマ・ニューモニアエおよびマイコプラズマ・ファーメンタンスの特異的脂質抗原の構造解析・化学合成に成功した。この技術を基盤として、臨床診断・治療における実用化に向けて開発を進めている。                    

マイコプラズマ特異的脂質抗原はバイオマーカーとして有用である。化学合成したこれらの微生物の脂質抗原による特異抗体の測定などの診断に有用である。さらに、この合成脂質抗原をもちいた活性作用メカニズムの解明から、新しいメカニズムに基づいたスクリーニングシステムの構築、新しいタイプの創薬につながると考えている。